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2025.12.26

Sinn

ジン・デポ 神戸三宮店

ジンU2の常識を覆す5つの事実:ただのダイバーズウォッチではない理由


ジンU2の常識を覆す5つの事実:ただのダイバーズウォッチではない理由


一見すると普通の製品なのに、その内部には常識を遥かに超えた「オーバースペック」な技術が詰め込まれている。そんなモノづくりに、心を奪われた経験はないでしょうか。それは自動車であったり、オーディオ機器であったり、あるいは万年筆かもしれません。見た目の美しさ以上に、その成り立ちや哲学にこそ、真の価値が宿っています。

ドイツの時計メーカーSinn(ジン)のダイバーズウォッチ「U2」は、まさにその哲学を体現した一本です。プロフェッショナルのための「計測機器」として、いかなる過酷な状況下でも絶対的な信頼性を提供することだけを使命として設計されました。今回は、このU2に秘められた、あなたの常識を覆すであろう5つの驚くべき技術を解き明かしていきます。





1. ケース素材は「本物の潜水艦」そのもの


最初の驚くべき事実は、U2の時計ケースが「Uボート・スチール」で作られていることです。これは単なるマーケティング上のキャッチーな名称ではありません。ドイツの鉄鋼大手ティッセンクルップ・マリン・システムズ社が、ドイツ海軍の最新鋭212A級潜水艦などの外殻のために供給している、本物の特殊鋼材そのものなのです。

この素材の特筆すべき点は、海水に対する圧倒的な耐食性です。ステンレスの耐食性を測る指標にPRE値(耐孔食指数)がありますが、Uボート・スチールはその数値において、一般的な高級時計に使われる素材を遥かに凌駕します。



さらに重要なのは、この素材が完全に「非磁性」であるという特性です。磁気に反応して起爆する機雷を扱うプロのダイバーにとって、身に着けるものが磁気を帯びていないことは生死を分ける絶対条件。U2の素材は、単なる頑丈さや耐食性を超え、プロの現場で要求される極めて専門的な機能性を満たしているのです。





2. 傷に強い「テギメント」はコーティングではない


次に紹介するのは、ジンの代名詞とも言える表面硬化技術「テギメント」です。多くの人がこれをPVDやDLCのような黒い「コーティング」の一種だと考えていますが、その本質は全く異なります。

テギメントは、素材の表面に膜を張るコーティングではありません。ステンレス鋼の表層に窒素や炭素を高温で浸透させ、金属組織そのものを変化させることで硬化させる技術です。具体的には、ステンレススチールの素の硬度(約220ビッカース)を、セラミックに匹敵する約1,200ビッカースまで引き上げます。

コーティング技術には、強い衝撃で母材が凹むと、表面の硬い膜だけが卵の殻のようにパリッと割れてしまう「エッグシェル効果」という弱点があります。しかし、素材自体を硬化させるテギメントにはこの問題が存在しません。

そして、ここが日本のユーザーにとって最も意外な事実です。日本の標準仕様で販売されているU2は、ケース全体ではなく、最も脆弱なパーツが選択的に保護されています。つまり、時計で最も傷がつきやすく、かつ潜水時間を計測する上で極めて重要な回転ベゼルと、シリコンストラップ仕様に付属する大型バックルにのみテギメント加工が施されているのです。これは、コストを合理的に抑えつつ、実用上最も保護が必要な箇所を確実に守るという、極めて実用的な設計思想の表れなのです。





3. 防水性能を保証するのは「船の検査機関」


U2が誇る2,000m(200気圧)という防水性能。それを支えるのは、実に厚さ4.2mmにも及ぶサファイアクリスタル風防です。しかし、このスペックを真に特別なものにしているのは、その認証プロセスにあります。多くの時計ブランドが自社の基準で防水性能を謳う中、ジンは全く異なるアプローチを取っています。その性能を認証しているのは、時計業界の団体ではなく、国際的な船級協会、つまりDNV(旧ゲルマニア・ロイド)なのです。

DNVは、タンカーやコンテナ船といった巨大な船舶が安全に航行できるかを検査・認証する機関です。彼らはU2を単なる腕時計としてではなく、欧州潜水器具規格(EN 250 / EN 14143)に基づいた「潜水機器」としてテストします。これは、ダイバーが命を預ける呼吸器やボンベと同等の信頼性基準で評価されていることを意味します。つまり、2,000mというスペックはマーケティング上の誇張ではなく、第三者機関によって物理的に保証された、絶対的な信頼性の証なのです。



この信頼性をさらに高めるのが、ネジで固定された「特殊結合方式の回転ベゼル」です。一般的なダイバーズウォッチに多いスナップ式(はめ込み式)ベゼルが強い衝撃で外れてしまう事故を構造的に防ぎ、いかなる状況でも潜水時間の計測機能を失わない、徹底した安全設計が施されています。








 

4. 内部の湿気を吸収し、色で知らせる除湿カプセル


機械式時計の内部に侵入したわずかな湿気は、潤滑油を劣化させ、精度を狂わせる大敵です。特に、冷たい海に飛び込む際の急激な温度変化は、風防内側に曇りを生じさせる原因となります。ジンはこの問題に対し、「Arドライテクノロジー」という独自の解決策を提示しました。

これは単一の技術ではなく、3つの要素からなる包括的なシステムです。まず、ケース内部を水分を含まない不活性ガスで満たし(プロテクトガス封入)、次に特殊なEDRパッキンで外部からの湿気の侵入を物理的に抑制します。そして最後の砦が、ケースサイドに埋め込まれた「ドライカプセル」です。このカプセルには硫酸銅が充填されており、万が一内部に侵入した湿気を化学的に吸着・固定します。

このテクノロジーの最も画期的な点は、ドライカプセルが持つ「インジケーター機能」にあります。カプセルは水分を吸収するにつれて、その色が淡い水色から濃い青色へと変化していきます。これにより、ユーザーは時計の蓋を開けることなく内部のコンディションを視覚的に把握し、メンテナンスが必要な時期を正確に知ることができるのです。これはまさに、時計との対話を可能にする機能と言えるでしょう。





5. 水中で「消える」ように設計されたGMT針


U2は、第2時間帯を表示するGMT機能を搭載しています。ダイヤルに配された赤い24時間針と目盛りは、デザイン上のアクセントとして非常に印象的ですが、その本当の目的は別の場所にあります。それは、Sinnの「Einsatzzeitmesser(出撃用計測器)」という哲学に深く根差した、驚くほど思慮深い機能設計です。

赤色は水中(水深5m以深)で最も早く吸収されて黒/グレーに見える波長である。これにより、潜水時には不要なGMT情報が視界から消え、分針と秒針のみが際立つよう設計されている。

つまり、陸上では便利なGMT機能も、一分一秒を争う潜水中にはノイズでしかありません。ジンは、ダイバーが潜水時間を誤読するリスクを排除するため、不要な情報を「光学的に消し去る」という方法を選んだのです。これこそ、不要な情報を『光学的に消去』することで任務遂行の確実性を高める、ジンのツールメーカーとしての哲学の真骨頂である。





結論:腕に着けるオーバースペックな計測機器


本物の潜水艦から削り出されたケース、コーティングではない表面硬化技術、船級協会が保証する防水性能、色で状態を知らせる除湿カプセル、そして水中で消えるGMT針。Sinn U2は、我々が「腕時計」という言葉から連想するアクセサリーの概念を遥かに超えた、純粋な「計測機器」です。そして、その哲学は時計の心臓部を潤すオイルにまで及びます。一般的な時計が氷点下で停止する中、U2はマイナス45℃の極寒からプラス80℃の灼熱まで、いかなる環境でも精度を維持し続けるのです。これこそが「計測機器」の証左に他なりません。

あらゆる情報がスマートフォンで瞬時に得られる現代において、これほどまでに物理的な信頼性を追求した機械式時計が持つ価値とは、一体何なのでしょうか。その答えは、実際に腕にした者だけが感じ取れる、究極の安心感と哲学の中にあるのかもしれません。


製品仕様


【ムーブメント】
SW330-1(自動巻/25石/28,800振動)
特殊オイル66-228(-45℃から+80℃での精度保証)
駆動時間:42時間
耐磁性能:4,800A/m(DIN8309準拠)
【機能】
時・分・秒(センターセコンド)
24時間表示式UTC(デュアルタイム)機能
デイト表示
【ケース・ベルト】
ケース:Uボート・スチール
ベルト:シリコンストラップ
風防:両面無反射サファイアクリスタル
特殊結合方式の逆回転防止ベゼル(テギメント加工)
リューズ:ねじ込み式
裏蓋:Uボート・スチール、ねじ込み式
防水性能:200気圧防水
減圧耐性
Arドライテクノロジー搭載
【サイズ・重量】
ケースサイズ:直径44mm×厚さ15.5m
重量:114g(ベルトを除く)
ベルト幅:22mm
【その他】
船級・認証機関DNV(旧ゲルマニア・


 



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