2026.08.05
laco
ジン・デポ 神戸三宮店
まるで80年の時を刻んだタイムカプセル。Laco「Erbstück(エルブシュトゥック)」が時計愛好家を熱狂させる5つの理由
まるで80年の時を刻んだタイムカプセル。Laco「Erbstück(エルブシュトゥック)」が時計愛好家を熱狂させる5つの理由
INTRODUCTION:新品なのに「ボロボロ」? 逆説的な魅力への招待
「なぜ、高価な対価を支払ってまで、新品の時計をあえて古く見せるのか?」
時計に詳しくない方が、Laco(ラコ)の「Erbstück(エルブシュトゥック)」コレクションを初めて目にしたとき、そんな素朴な疑問を抱くのも無理はありません。しかし、その「傷」や「変色」の奥に宿る物語に触れたとき、この時計が単なるレトロ風のプロダクトではなく、所有者の感性を揺さぶる工芸品であることを悟るはずです。
1925年にドイツのフォルツハイムで産声を上げた老舗、Laco。その歴史の重みを体現するこのコレクションは、ドイツ語で「家宝」や「伝家宝刀」を意味する名を与えられています。それは、箱から出した瞬間から、まるで数世代にわたって受け継がれてきたかのような圧倒的な「本物感」を纏っているのです。

唯一無二の「個体差」を生む、狂気的なまでの手作業
Erbstückが他のヴィンテージ風時計と一線を画す最大の理由は、そのエイジング加工が機械による量産ではなく、すべて熟練した職人の「手仕事」によって行われている点にあります。ケース、文字盤、針、そしてストラップに至るまで、すべてのコンポーネントが個別に加工されます。
「一つとして同じものは存在しない」という事実は、現代の大量生産社会において、この上ない贅沢と言えるでしょう。
「エイジング加工は機械的手段を使わず、手間のかかる手順で手作業で行われるため、その仕上がりは完全に本物であり、どれ一つとして同じものはありません。」
職人がピンセットやヘラを駆使し、一つひとつの打痕や汚れを意図的に、かつ緻密に再現していく工程は、まさに狂気的なまでの執念。その「作為的な傷」が偶然の産物を超え、芸術の域に達していることは、細部を見れば明らかです。

持ち主の好みを反映する「3段階のエイジング・レベル」
Lacoは、ユーザーが自らの腕に「どの程度の歴史」を刻みたいかを選択できる、驚くべきカスタマイズシステムを提示しています。
- レベル1(軽微な兆候): ケースに目立つ傷はなく、わずかな経年変化の兆しが見える程度。大切に保管されつつ、時折使われてきたような気品ある風合い。
- レベル2(標準): 数十年使い込まれたような、自然な傷や変色を再現。同コレクションのスタンダードであり、最もバランスの取れたヴィンテージ感を楽しめます。
- レベル3(強い劣化): 非常に強いエイジングが施され、針の夜光塗料が剥がれ落ちた状態まで再現。歴史の荒波を乗り越えてきたかのような凄みを放ちます。
特にレベル3においては、「読み取りやすさよりもリアリティを優先する」という、実用時計メーカーとしては異例の、しかし愛好家にとってはこれ以上ないほど誠実な姿勢が貫かれています。

歴史が宿る「FL23883」の刻印と、1940年代のDNA
この時計のデザインの源流は、1940年代に製造されたオリジナルの55mm観測用時計(B-Uhr)にあります。当時のパイロットが極限状態のコックピットで命を預けたその姿を、現代的なサイズ感(39mm〜45mm)に再構築しているのです。
注目すべきは、ケース側面に刻まれた「FL23883」という文字。これは単なる装飾ではなく、かつて帝国航空省(RLM)によって割り当てられた「ナビゲーション機器」としての分類番号を指しています。また、文字盤には内側に時間の円、外側に分・秒の円を配した**「Baumuster B(タイプB)」**デザインを採用。こうした歴史的考証に基づいたディテールが、単なる「古い見た目の時計」を超えた、本物の軍用計器としての説得力を与えています。

細部へのこだわり:熱焼きされたブルースチール針とヴィンテージ・ストラップ
ディテールを深く観察するほど、Lacoの執拗なまでのこだわりが見えてきます。インデックスにはヴィンテージ感を演出しつつも高い視認性を誇る**「Superluminova C3」**を採用。そして針には、伝統的な手法である「熱焼き」を施したブルースチール針が使われています。この美しい青色はエイジング加工によってあえて光沢を抑えられ、文字盤のマットな質感と見事に調和しています。
また、リベット付きの閉じたループ状のカーフレザーストラップも特筆すべき存在です。ストラップ自体にも個別にエイジングが施されており、手にしたその日から、長年愛用してきた相棒のように手首へ吸い付くような馴染みの良さを見せてくれます。

現代の利便性と「中身」の信頼性
外見こそ数十年を経たヴィンテージの風格を湛えていますが、その「中身」には現代ドイツ時計らしい堅実な信頼性が宿っています。ムーブメントには、定評あるETAムーブメントの流れを汲む手巻きの**「Laco 210(Sellita SW 210ベース)」、あるいは自動巻きの「Laco 200(Sellita SW 200ベース)」**を採用。高い精度と優れたメンテナンス性を両立させています。
さらに、風防には傷に強いドーム型のサファイアクリスタルを装備。そして裏蓋は、内部を露出させない重厚な「ソリッドバック」仕様となっており、当時の軍用時計としての「本物感」を崩さない徹底ぶりが伺えます。ヴィンテージ時計が抱える「壊れやすさ」という不安から解放され、日常の道具として気兼ねなく使い込める実用性は、現代の愛好家にとって最大の恩恵と言えるでしょう。

CONCLUSION:時計とは「時間」ではなく「物語」を身に纏うこと
LacoのErbstückを選ぶこと。それは単に時刻を知るための道具を手に入れることではありません。1925年から続くLacoの矜持、1940年代のパイロットたちが抱いた空への憧憬、そして現代の職人が注ぎ込んだ情熱――それら数世代にわたる「物語」を、自らの腕に引き継ぐという体験なのです。
新品という概念を覆す、熟成された色気。袖を通した瞬間から、まるでもう何十年も共に歩んできたかのような顔をしてくれるこの時計は、あなたの日常に深い彩りを添えてくれるはずです。
あなたがこの時計と共に刻み、次世代へと繋いでいきたい「新しい物語」は何ですか?

日本国内での購入情報
そんな唯一無二のLACO時計ですが、現在日本国内では473,000円(税込み)時計のミヤコ神戸三宮店様にて、現在予約販売を受付中です。
基本的に受注品となるため、注文してからだいたい2カ月程度の納期を見ておいた方が良いとのことです。(本国ドイツでも、指定するエイジングレベルによっては部品をリクエスト通りに手作業で加工するため、納期が長くなることがアナウンスされています)。
本物の歴史の重みを腕に纏うことができるLACOのErbstückコレクション。今後、日本国内で驚きの品になる前に、ぜひお早めにチェックしてみてください!


