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2025.10.18

お知らせ

ジン・デポ 神戸三宮店

伝説、神戸に現る】ジン 206.ARKTIS.IIはなぜ「腕時計」ではなく「生命維持装置」と呼ばれるのか? ミヤコウォッチズが解き明かす$-45^{\circ}C$の秘密。


氷の中で鍛えられ、時を経て完成される:


ミヤコ ジン デポ にて、


ジン 206.ARKTIS.IIの到来を告げる


I. 序章:北極の伝説、再び




容赦ない寒さと想像を絶する圧力が支配する領域、北極。その極限環境こそが、時計製造における伝説「ARKTIS」を生み出した揺りかごです。この度、ミヤコ ジンデポ神戸三宮店は、その伝説の正統なる後継機、ジン 206.ARKTIS.IIの正式な取り扱いを開始したことを、謹んでお知らせいたします。この発表は、神戸および日本の時計愛好家にとって、特筆すべき出来事となるでしょう。

206.ARKTIS.IIは、単なる腕時計というカテゴリーを遥かに超越した存在です。それは、ジンが誇る最先端技術の集合体であり、「機能がフォルムを決定する」というブランド哲学の揺るぎない証です。そして何よりも、時計史に名を刻むアイコンの血統を色濃く受け継ぐ、ミッションクリティカルな計器なのです。このレポートでは、この卓越したタイムピースが、なぜ単なるアクセサリーではなく、過酷な任務に不可欠な装備として設計されたのか、その核心に迫ります。主流のラグジュアリーダイバーズウォッチが審美性やブランドの名声に焦点を当てる中、ARKTIS IIの物語は、極限環境が突きつける現実的な工学的課題を解決するという、純粋な目的意識に根差しています。この「問題解決者」としての一貫したアイデンティティこそが、他の追随を許さない独自の価値提案なのです。

 

II. 北極海で鍛え上げられた伝統:203から206へ




206.ARKTIS.IIの真価を理解するためには、その歴史的背景を紐解く必要があります。このモデルの物語は、20世紀の終わり、1999年にまで遡ります 。この年、ジンは時計業界に衝撃を与えるモデル、203.ARKTISを発表しました。これは、北極海での極限潜水という特殊な目的のために開発された、画期的なダイビングクロノグラフでした。その最大の特徴は、ジンが開発した特殊オイル66-228を初めてダイバーズクロノグラフに採用し、温度抵抗テクノロジーを搭載した点にあります 。この技術革新により、から$+80^{\circ}C$という驚異的な温度範囲での機能的信頼性が保証され、機械式時計の常識を覆したのです 。

そして2019年、初代モデルの誕生から20周年という節目を迎え、ジンはこの偉大な遺産を次世代へと継承すべく、206.ARKTIS.IIを開発しました 。これは単なる復刻版ではありません。オリジナルの精神を尊重しつつ、20年間の技術的進化を余すところなく注ぎ込んだ、意図的かつ思慮深い現代化の結晶です。

この進化は、具体的な仕様に明確に表れています。まず、ケースサイズはオリジナルの41mmから、現代的な43mmへと拡大されました 。これは単に現代の嗜好を反映しただけでなく、ダイヤルの視認性を向上させ、腕元での存在感を高めるという機能的な意味合いも持ち合わせています。

さらに重要なのは、技術的なアップグレードです。オリジナルの時代には存在しなかった、ジンのD3システムを採用したプッシャーや、世界最大級の船級・認証機関DNVによる認証といった要素が新たに追加されました 。これらの改良は、単なる見た目の変更ではなく、時計のユーザビリティ、安全性、そして信頼性を根本から向上させるための、機能に基づいた進化です。203から206への移行は、ジンが常に美的変更よりも機能的改善を優先するという哲学を完璧に体現しています。初代モデルがその時代の画期的な製品であったことは間違いありませんが、ジンは決してそこで満足することなく、研究開発を続けました。このダイナミックで未来志向の姿勢こそが、206.ARKTIS.IIに比類なき価値を与えているのです。

 

III. パフォーマンスの支柱:ジン独自のコアテクノロジーへの深層探求




206.ARKTIS.IIがプロフェッショナルな計器として絶対的な信頼を勝ち得ている理由は、ジンが独自に開発した複数の革新的なテクノロジーが、一つのシステムとして完璧に機能しているからです。これらの技術は、それぞれが機械式時計が直面する潜在的な弱点を克服するために設計されており、その集合体として、この時計に驚異的な耐久性と信頼性をもたらしています。それはまさに、あらゆる故障の可能性を系統的に排除するために設計された、過剰なまでに堅牢な耐久性のエコシステムと言えるでしょう。

206.ARKTIS.II

A. 温度の支配:から$+80^{\circ}C$への挑戦


 

機械式時計にとって、極端な温度はムーブメントの精度を著しく損なう大敵です。特に低温環境では、従来の潤滑油は粘度を増して硬化し、テンプの振動を妨げ、最悪の場合、時計を停止させてしまいます 。

この根本的な問題を解決するのが、ジンの「温度抵抗テクノロジー」です。その核心は、特別に開発された合成特殊オイル66-228にあります 。このオイルは、の極寒から$+80^{\circ}C125^{\circ}C$もの広範な温度域で安定した粘度を維持します 。これにより、ムーブメント内の各部品は常にスムーズに作動し、いかなる環境下でもテンプは正確な振動を続けることができるのです。この卓越した性能の証として、シースルーバックから見えるローターには、雪の結晶マークと「-45℃」の文字が刻印されており、オーナーにその特別な能力を視覚的に伝えます 。

このテクノロジーの信頼性は、机上の理論に留まりません。「世界で最も過酷な犬ぞりレース」と称されるユーコン・クエストにおいて、この技術を搭載した時計が実際に使用され、その性能が極限の環境下で証明されています 。これは、206.ARKTIS.IIが単なるスペック上の高性能ではなく、実世界で証明された信頼性を備えていることの力強い物語です 。

 

B. 湿度の克服:Arドライテクノロジー


 

機械式時計のもう一つの静かなる敵は、ケース内部に侵入・残留する湿気です。空気中に含まれる水分は、オイルの劣化を加速させ、精度低下や部品の腐食を引き起こします。また、急激な温度変化によって風防内が曇る現象は、視認性を著しく妨げる深刻な問題です 。

ジンは、この湿度という見えざる脅威を克服するため、「Arドライテクノロジー」という三位一体のシステムを開発しました 。

  1. プロテクトガスの充填: 時計の組み立て工程で、ケース内部はアルゴンなどの不活性ガスで満たされます。これにより、通常であれば内部に閉じ込められてしまう湿気を含んだ空気が排除され、ムーブメントは最初から理想的な乾燥環境に置かれます 。

  2. EDRパッキン: ケースの密閉には、「極めて拡散を低減する」という意味を持つ特殊なEDR(Extremely Diffusion-Reducing)パッキンが使用されます。このパッキンは、従来のニトリルゴム製パッキンと比較して、外部からの水分の侵入をわずか25%にまで抑えることができ、時計の気密性を飛躍的に高めます 。

  3. ドライカプセル: そして、このシステムの最後の砦となるのが、ケース内部に設置されたドライカプセルです。硫酸銅を充填したこのカプセルは、長い年月をかけてわずかに侵入する湿気を積極的に吸収し、内部に永久に閉じ込めます 。カプセルの飽和度は色の変化によって示され、サファイアクリスタルの小窓からその状態を確認できるため、メンテナンスの時期を正確に知ることが可能です 。


これらの技術が連携することで、Arドライテクノロジーはムーブメントのオイルを湿気による劣化から守り、風防の曇りを防ぎ、時計の精度と寿命を劇的に向上させるのです。

 

C. 妥協なき操作性:D3システム・プッシャー




従来のダイバーズクロノグラフの多くは、防水性を確保するためにねじ込み式のプッシャーを採用しています。しかし、この方式は水中でクロノグラフを操作する前に、ねじ込みを解除するという手間が必要であり、緊急時には操作が煩雑になるだけでなく、締め忘れによる浸水のリスクも伴います。

ジンの「D3システム」は、このジレンマを独創的な方法で解決しました 。このシステムでは、プッシャーの軸とリューズシャフトが、従来のチューブ構造を介さず、ケースに直接精密に組み込まれます。そして、二重のパッキンによって完璧なシールを形成することで、ねじ込み式のカラー(外側のリング)を必要とせずに高い防水性を実現します 。

この構造がもたらす利点は二つあります。第一に、即応性です。クロノグラフは常に操作可能な状態にあり、いかなる状況でも瞬時に計測を開始できます。第二に、安全性です。ねじ込みを解除する必要がないため、300mの防水性能を常に維持したまま、水中で安全にクロノグラフを操作することが可能です 。これは、オリジナルの203.ARKTISにはなかった、ユーザビリティと安全性の飛躍的な向上を意味します 。

 

D. 圧力下での安全性:特殊結合方式の回転ベゼル




ダイバーズウォッチにとって、回転ベゼルは潜水時間を計測するための最も重要な安全装置です。しかし、一般的なベゼルはスナップ式で固定されているため、強い衝撃によって外れてしまう可能性があります。もし潜水中にベゼルが脱落すれば、ダイバーは正確な潜水時間を把握する手段を失い、極めて危険な状況に陥ります。

ジンは、このような致命的な故障を防ぐため、ベゼルを極めて強固にケースに固定する特殊な結合方式を採用しています 。この「キャプティブ・ベゼル(外れ防止ベゼル)」は、偶発的な衝撃によってベゼルがケースから脱落することを事実上不可能にします 。この細部にまで及ぶ安全への配慮は、206.ARKTIS.IIが失敗の許されないプロフェッショナルのための計器であることを雄弁に物語っています。

 

IV. デザイン、寸法、そしてダイヤル:目的に特化した計器の美学


 

206.ARKTIS.IIのデザインは、バウハウスの「形態は機能に従う」という原則を完璧に体現しつつ、独自の美的センスを融合させています。そのすべての要素は、機能的な目的に基づいて決定されていますが、同時に洗練された魅力を放っています。

 

ARKTISブルーダイヤル




この時計の最も象徴的な特徴は、氷河の氷や極地の海を想起させる、魅惑的なサンレイ仕上げのブルーダイヤルです 。この特別なカラーは、単に美しいだけでなく、ARKTISシリーズのアイデンティティそのものであり、その極地でのルーツを物語っています。光の角度によって表情を変えるサンレイ仕上げは、時計に深みと高級感を与え、白い針とインデックスとの高いコントラストを生み出すことで、あらゆる状況下で最高の視認性を確保します。

 

現代的なケース造形


 

43mmのステンレススチール製ケースは、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを巧みに組み合わせることで、ツールウォッチとしての堅牢さと、高級時計としての洗練された雰囲気を両立させています 。サテン仕上げは傷を目立たなくする実用的な役割を果たし、ポリッシュ仕上げの面取り(エッジ部分)は光を捉えて立体感を際立たせます。この現代的で堂々としたサイズは、腕元で確かな存在感を放ちながら、計器としての優れた判読性にも貢献しています。

 

透明な心臓部


206.SRKTIS.Ⅱ

ケースバックにはサファイアクリスタルが採用されており、この時計の機械的な心臓部であるConcepto C99001自動巻きムーブメントの精緻な動きを鑑賞することができます 。特に注目すべきは、特別にデザインされたローターです。前述の通り、ここには「-45℃」の文字と雪の結晶マークが刻印されており、内部に秘められた高度なテクノロジーを常にオーナーに示します 。これは、見えない技術を見える形で称賛する、時計愛好家の心に響く演出です。

 

すべてを凌駕する透明性


 

風防には、両面無反射コーティングが施されたサファイアクリスタルが採用されています 。このプレミアムな仕様により、光の反射が極限まで抑えられ、まるでクリスタルが存在しないかのような錯覚を覚えるほどの完璧な透明感が得られます。これにより、いかなる角度からでもダイヤルを正確に読み取ることが可能となり、計器としての本質的な機能が最大限に高められています。

 

V. 深海への認証:DNVプロフェッショナル規格


 

多くのダイバーズウォッチは、腕時計の防水性能に関する国際規格ISO 6425に準拠していることを謳っています。しかし、ジン 206.ARKTIS.IIは、その基準を遥かに超えるレベルでその信頼性を証明しています。この時計は、船舶や海洋構造物のための世界有数の船級協会であるDNVによって、ヨーロッパの潜水器具規格EN250およびEN14143に基づいてテスト・認定されています 。

これが何を意味するのかを理解することが、この時計の真の価値を把握する鍵となります。EN250/EN14143とは、ダイバーの生命を直接支える呼吸用レギュレーターなどのプロフェッショナル用潜水器具に適用される、極めて厳格な規格です 。この認証プロセスでは、単なる水圧耐性(30気圧/300m)だけでなく、低温・高温環境下での機能性、耐衝撃性、そして実用的な潜水条件下での総合的なパフォーマンスが厳しくテストされます 。

つまり、206.ARKTIS.IIは、「腕時計の基準」ではなく、「生命維持装置の基準」でその性能が検証されているのです。これは、ジンが自社の技術力を主張しているのではなく、世界で最も尊敬される第三者認証機関の一つが、その卓越した性能を客観的に証明していることを意味します。このDNVによる認証は、他のいかなる時計ブランドも容易には主張できない、比類なき信頼性と信用の証なのです。

 

VI. 完全なる仕様:計器の詳細


 

206.ARKTIS.IIの卓越性は、その詳細な技術仕様に集約されています。以下の表は、このプロフェッショナル計器のあらゆる側面を網羅し、時計愛好家が求める詳細なデータを提供します。各仕様がオーナーにもたらす具体的な利点と合わせてご覧ください。

ご注意: ジン・ジャパンによる現在の公式小売価格は**1,045,000円(税込)**です。これは、以前に記載されていた可能性のあるすべての価格に優先します。










































































カテゴリー 仕様 意義と利点
ムーブメント Concepto C99001、自動巻き 堅牢なスイス製クロノグラフキャリバー。25石、28,800振動/時(4Hz)による滑らかな秒針の動き、正確な時刻合わせを可能にする秒針停止機能、46時間のパワーリザーブを備える。
機能 時・分・スモールセコンド、デイデイト表示、クロノグラフ D3システムにより、完全に水没した状態でもストップウォッチ機能を操作できるという決定的な能力を持つ、フル機能のクロノグラフ。
ケース ステンレススチール、サテン&ポリッシュ仕上げ 直径43mm、厚さ17mm、ラグ幅22mm。優れた視認性と腕元での存在感を両立する、現代的で堅牢なサイズ。高品位なスチールが耐久性を保証する。
ダイヤル&針 サンレイ仕上げブルーダイヤル、夜光インデックス ARKTISを象徴するブルーがダイナミックで印象的な外観を提供。インデックス、時分針、クロノグラフ秒針にはスーパールミノバが塗布され、暗所での視認性を確保。
風防 サファイアクリスタル(風防、ケースバック) 傷に極めて強い。風防には両面に無反射コーティングが施され、光の反射を排除し、卓越した透明感を実現。
ベゼル 特殊結合方式の逆回転防止ダイバーズベゼル 60分スケールと夜光キーマークを備える。特殊な結合方式により、衝撃による偶発的な脱落を防止。極めて重要な安全機能。
防水性能 30気圧 / 300m。負圧耐性。 300mの水深までの防水性を保証。負圧耐性により、航空機内などでの急激な気圧低下時に風防が外れることを防ぐ。
認証 欧州潜水器具規格EN250/EN14143に基づきDNVによりテスト・認定 プロ用の生命維持潜水器具と同じ厳格な基準で、性能と耐久性が第三者機関によって客観的に検証されている。
ジン・テクノロジー 温度抵抗テクノロジー () 標準的な機械式時計が機能停止するような極端な気候下でも、機能的な信頼性を保証する。
Arドライテクノロジー ガス、パッキン、カプセルの三位一体システムが、風防の曇りを防ぎ、ムーブメントオイルの劣化から保護し、メンテナンス間隔を劇的に延長する。
D3システム・プッシャー&リューズ 煩わしいねじ込み式カラーを必要とせず、水中でのクロノグラフの即時かつ安全な操作を可能にする。ユーザビリティと安全性の大きな飛躍。
価格 1,045,000円(税込) ジン・ジャパンによる現在の公式価格。以前の価格表記はすべて無効となります。






 

VII. ご招待:ミヤコウォッチズでジン 206.ARKTIS.IIを体感する


 

ここまで、ジン 206.ARKTIS.IIの本質を解き明かしてきました。それは、北極での伝説的なミッションから生まれ、妥協なきテクノロジー群によって完成され、最高のプロフェッショナル基準によってその価値が証明されたタイムピースです。

ミヤコウォッチズ ジンデポ神戸三宮店は、この卓越した計器を直接ご体験いただくため、皆様を心よりご招待申し上げます。当店は単なる販売店ではありません。優れた計器のキュレーターとして、時計愛好家の皆様が時計製造の深遠な世界と対話できる場所でありたいと願っています。

ジン 206.ARKTIS.IIのような時計は、その真価を理解するためには、実際に手に取り、体感していただく必要があります。ずっしりとしたケースの感触、確実なクリック感を持つベゼルの操作性、そして見る者を惹きつけてやまないARKTISブルーダイヤルの輝き。これらは、仕様書だけでは決して伝わることのない品質です。ぜひ当店にて、ドイツの計器製造の粋を集めたこの傑作をご自身の目でお確かめください。


206.ARKTIS.Ⅱ ブレスレット仕様_